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祭の開始を告げる太鼓の音(ね)
太鼓台の上に積まれた太鼓を願人(がんじ)と呼ばれる叩き手が鳴らす枕太鼓。願人の背もたれが大きな枕に似ているところから、そのように呼ばれています。
夏祭の渡御(とぎょ)の中でも、先頭を行くのが枕太鼓です。太鼓を叩くことには、邪気を払う意味がありますが、もう一つ「おしめし太鼓」といって、氏地の方たちに巡行が来ていることを知らせる、という意味もあります。
願人の装いは「晴着」と呼ばれ、赤い頭巾をかぶり、瓢箪模様の法被を着ていますが、これは「忍び」の姿が起源といわれています。
苦労して古(いにしえ)の形を再現
この枕太鼓は、氏地の中でも旧東区にあたる地域の人々によって行なわれます。
戦争によって史料や太鼓、太鼓台がすべて焼失してしまった中、その再興はまさに手探りの状態の中で始まりましたが、できるだけ昔に忠実に行なおうと、地域の方たちは苦労したといいます。新たに製作された太鼓、太鼓の奏法、所作などはそうした熱意によって、古(いにしえ)の姿に近い形でよみがえりました。
しかし以前は数百人で担いでいた太鼓台も、住民の減少とともに少しずつ姿を変えつつあります。
子どもたちによる「もう一つの太鼓」
枕太鼓の担い手は10代〜20代が中心で、中学生から参加することができますが、小学生を中心とした子供たちによる「子供太鼓」、「子供神輿」も行なわれ、小さな手で太鼓を打ち鳴らした、あるいは神輿を引いた子供たちが地区内を練り歩き、11日の宵宮の日には、本社に宮入をします。
子供たちの祭りへの参加には、伝統を絶やさず今後も受け継いでいきたいという地域住民の願いが込められていますが、枕太鼓を憧れのまなざしで見つめる子供たちの姿がある限り、この雄壮な神事はこれからもずっと続いていくことでしょう。
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