弁理士という存在は、我々一般の人間には、ややなじみが薄いのが正直なところですが、どのようなお仕事が多いのでしょうか。
うちに仕事を依頼してくださるのは9割方が企業さんで、やはり特許権がらみの仕事が多いです。しかし商店や個人事業主の方からも、特許や商標に関することでお仕事を戴くこともあります。「うえいくネット」に加盟しているお店さんからご相談をいただいたケースもあります。ですから、みなさまともどんな所で接点があるかわかりませんよ。
所長さんが弁理士をめざすきっかけは、どのようなことだったのでしょうか。
私は大学では理系で大学院にも進学しました。途中までこういう世界があることはまったく知らなかったのですが、ある時、知人から何気ないきっかけで弁理士という国家資格があることを聞き、興味を持って自分なりにいろいろと調べてみたんです。その結果、卒業後は松下電器産業(株)の知的財産部という部署で11年間仕事をすることになり、退社後に大阪市内の大手の特許事務所に入りました。
そこで勉強をされて独立をされた訳ですね。開業後はご苦労も多かったことと思いますが……。
特許事務所には3年ほどおりましたが、入所後もしばらくは独立するなんてことは考えていませんでしたよ。しかし、今振り返ってみて、また自分の性格を考え合わせると、やはり心のどこかには、「自分の事務所を構える」という気持ちがあったのかもしれません。
開業後、ふつうならば営業に走り回るところでしょうが、いろいろな方から特許出願の依頼を紹介して戴き、またお客さんからの紹介も多く、今までやってきました。それに答えるためにいつも依頼者に喜んでもらえるよう頑張っております。本当に皆さんにはいつも感謝しております。
そうですか。それにしても、何かとストレスの多い仕事かと思いますが、どんなところが魅力でしょうか。
弁理士のような仕事は、とりあえず「人から感謝される」ことの多い仕事なんです。もちろん、うまくいかなければ責任はすべて一人で背負わなければなりませんが、成功した時には、その喜びはいっそう大きいんです。大きな特許事務所では、どうしても分業になりがちですが、今では、依頼主さんの依頼内容だけでなく、ご要望によりいろいろな面からサポートさせて戴いてますね。知的財産の分野では、依頼主さんの事業内容だけでなく、同業他社の事業内容や将来的な環境なども考えなければ、本当の「強い権利」が取得できませんよ。そのためには依頼主ととことん検討したりしますね。ですから、成功したときの依頼主さんからの感謝の御言葉が格別なんです。特に最近では、特許や商標の係争関係の依頼も多く、その際の「感謝の御言葉」はこの仕事をやっていて本当によかったと思いますよ。